日本のルーツが残る町、御所

旅のあとも、健康であり続ける
楽しいヘルス・ツーリズム

さんろく自然塾うめだファーム

金剛山のふもとに生まれた、教育者夫妻が営む民泊農園

奈良県御所市ではじめて民泊事業が始まったのは2018年6月のこと。市内第1号の民泊施設「さんろくのおうち」はさんろく自然塾うめだファーム(以下、うめだファーム)の中に併設されています。
登山者や歴史ファンに人気の金剛山のふもと御所市の増(まし)に誕生。瓦ぶきの古い古民家を改装し、宿泊業とカフェをオープンしたのは、楳田さん(うめだ)ご夫妻。元関西医療大学教授で医学博士である高士さんと元小学校校長の敬子さんという、異色の教育者夫妻の経歴を活かした民泊農園を営まれています。

御所のおもてなしの心が凝縮された豊かな時間

御所のまちは、伊勢神宮へと続く伊勢街道と高野山に通じる高野街道が交わる場所であったため、特に江戸時代には交通の要衝として数多くの旅人や行商が訪れ、商業の街として発展しました。そんな外から訪れる人たちをおもてなしし続けてきた文化は、今もなお御所の人たちの心に根付いているのかもしれません。そして、うめだファームは、そんな御所のおもてなし精神を象徴するような場所。訪れればご夫妻が「おかえりなさい!ゆっくりしていってね!」と元気よく迎え入れてくれます。
「さんろくのおうち」のお風呂やトイレは全面改修され、快適そのもの。料理好きな敬子さんが用意してくれる食事は、どこか懐かしく健康的で、それでいて都会から訪れた人々でも納得の味。ひとたび地元の話になれば、高士さんが文献などからご自身で調べた御所の歴史や文化について他では聞けない話をしてくれます。何より、活気溢れるお二人と過ごしているだけで、気づけばこちらもすっかり元気になってしまう。そんな不思議なエネルギーに満ち溢れるうめだファームにすっかり魅了され、何度もリピートしてしまう方も少なくないようです。

大和の薬草を自家栽培

葛城山や金剛山のふもとで薬草が採れることから、御所市は数百年もの間、和薬を作り続けてきた日本有数の漢方の産地です。
実は、高士さんのご専門は鍼灸をはじめとした東洋医学の研究。うめだファーム内にある「としょしつ」に足を踏み入れると東洋医学についての書籍や論文がずらりと並んでいます。そんな高士さんが薬草の自家栽培に取り組み始めたのは、もはや自然な流れだ他のでしょう。

自分にあったケアの仕方が学べるヘルス・ツーリズム

「病気になってから対処していては遅いんです。僕がずっと研究してきた東洋医学の基本は『未病治』である予防医学です。ここに泊まりにきてもらった人に、身も心も元気になって帰ってほしい」そう語る楳田さんご夫妻は、新たなツーリズムをはじめようとしています。旬のものを食べる、自然豊かな環境で身体を動かすといった一般的なプログラムに加えて、温故知新の東洋医学に触れながら、経絡・経穴を応用した健康法を学び、さらに自分自身の体質に合った食品についての知識を高める。そんなうめだファームならではのセルフケアの仕方をも身につけられる旅を検討しています。
「子供さんにも来てもらい、さんろくの自然の中に身をおいて、田舎生活の体験を存分に楽しんでもらいたい」とご夫妻は意気込みを語ります。
健康になるヘルス・ツーリズムから、旅が終わってからも健康であり続ける楽しいヘルス・ツーリズム発へ。今後ご夫婦がはじめる新しい旅を楽しみにしていてください。


さんろく自然塾うめだファーム
〒639-2327 奈良県御所市大字増606
TEL : 080-4010-3600
http://36umeda.com


STAFF
Photo : 堀内 康広 trunkdesign-web.com
Text : 澤田 哲也 mitemo.co.jp
柳瀨 武彦
Interviewer : 澤田 哲也 mitemo.co.jp
Art director : 堀内 康広 trunkdesign-web.com